xsr700 xsr900 比較|どっちを選ぶべき?エンジン・価格・デザインの違いを徹底解説

xsr700 xsr900 比較|どっちを選ぶべき?エンジン・価格・デザインの違いを徹底解説

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ネオレトロスタイルのバイクとして人気を集めているヤマハのXSRシリーズ。その中でも、ミドルクラスのXSR700とリッター未満のXSR900は、見た目がよく似ているだけに「どっちを選べばいいの?」と迷う人が非常に多いモデルです。筆者自身も購入を検討していた際、デザインや雰囲気が似ているからこそ、性能や価格差、乗り味の違いが分かりにくく、相当悩んだ記憶があります。

結論から言えば、XSR700とXSR900はまったくの別物です。確かに共通のスタイリング言語で作られてはいますが、エンジン特性、車体構成、価格帯、そして実際に走ったときのフィーリングにおいて、まるで別ジャンルのバイクと言っても差し支えありません。どちらが優れているというよりも、ライダーの経験値や用途、求めるキャラクターによって最適解が変わってくるモデルです。

XSR700は軽量かつ素直なハンドリングで、街乗りや気軽なツーリングに最適。一方、XSR900は強烈なトルクと電子制御満載のハイパフォーマンスマシンで、ワインディングやロングツーリング、高速域での安定感に魅力があります。しかし、その性能の裏にはそれぞれの“クセ”もあり、乗り手のスキルや体格によっては「扱いづらい」と感じることもあるでしょう。

本記事では、XSR700とXSR900のエンジン性能、価格差、装備内容、デザインの細かな違い、そして中古市場の傾向まで、多角的に比較しながら、それぞれのバイクがどんな人に向いているのかを丁寧に解説します。あなたが“どちらを選ぶべきか”を判断するための確かな情報源になれば幸いです。

この記事で分かること
・XSR700とXSR900のスペック・エンジン性能の違い
・価格帯や装備、維持費の比較とコスパの評価
・デザインのディテールや車格の印象の違い
・実際のライディングフィーリングの差と用途別の適性
・中古市場での人気傾向と選び方のポイント

目次

xsr700 xsr900 比較で迷ったら?まず知っておきたい5つの違い

xsr700 xsr900 比較で迷ったら?まず知っておきたい5つの違い
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XSR700とXSR900は、同じ“ネオレトロ”スタイルを持つ兄弟モデルとして人気ですが、その中身には大きな違いがあります。カタログ上のスペックを見比べただけでは分かりにくい部分も多く、「見た目が似ているから700で十分?それとも900の方が満足度が高い?」と悩む声もよく聞かれます。

筆者も実際に両車を跨った経験があり、比較検討の段階では価格差と装備差に迷い、試乗してようやく「これはまったく別モノだ」と納得した記憶があります。特にエンジンフィール、ポジション、車体の安定感など、走り出した瞬間に“別カテゴリのバイク”であることがはっきりと感じ取れるのです。

このセクションでは、エンジン性能・価格と装備の違い・乗り味・電子制御の有無・デザインの細部という5つのポイントに絞り、XSR700とXSR900を客観的かつ実用的に比較していきます。どちらが上かではなく、「どちらが自分に合っているか」という視点で読み進めていただければと思います。

エンジン性能の違い|2気筒vs3気筒、その走りの差
乗り味に明確な差がある
価格差と装備の違い|コスパはどちらが高い?
価格差は装備で納得?
ライディングポジションと車格の体感差
取り回しやすさは700が上
電子制御・足まわりの進化度合い
900は電子装備が充実
デザインは同じじゃない?外観と細部の違い
細かい意匠が異なる魅力

エンジン性能の違い|2気筒vs3気筒、その走りの差

XSR700とXSR900の最も根本的な違いは、エンジン構成です。XSR700は689ccの並列2気筒エンジン、XSR900は888ccの並列3気筒エンジンを搭載しています。この“気筒数の違い”が、走り出しからまったく異なるフィーリングを生み出しています。

まずXSR700は、クロスプレーン・コンセプトの2気筒エンジンで、中低速のトルクがしっかりあり、発進からスムーズに加速できます。最大トルクは68Nm(@6,500rpm)と豊かで、街乗りやツーリングでは回さなくても扱いやすいパワー感があります。アクセル操作に対する応答も穏やかで、ビギナーでも扱いやすく、長く乗れるエンジンです。

一方XSR900は、MT-09と同じ3気筒CP3エンジンを搭載。最大出力は約120馬力、トルクは93Nm(@7,000rpm)と、XSR700をはるかに上回るスペックを持ちます。実際に走ると、その**瞬発力と伸びの鋭さ、回転の軽さは“異次元”**で、高速道路やワインディングではまさに「スーパースポーツ級」の加速を楽しめます。3気筒ならではの独特なサウンドも魅力で、「乗っていてワクワクする」タイプのエンジンです。

ただし、このパワーの違いは、単純に「速い方が良い」という話ではありません。XSR900は強烈な加速性能を持つ分、繊細なアクセル操作が必要で、乗り手にある程度の経験や余裕を求める場面もあります。対してXSR700は、パワーがマイルドな分、安心して日常使いでき、体への負担も少ないのが大きな魅力です。

筆者の体感としても、“自分のペースで走りたい”ならXSR700、“刺激を求めたい”ならXSR900という印象でした。スペック表だけでは見えない、エンジンのキャラクターの違いこそが、両者を分ける最大のポイントなのです。

価格差と装備の違い|コスパはどちらが高い?

XSR700とXSR900を比較するうえで、多くの人が最初に気にするのが「価格差に見合う装備の違いがあるのか?」という点です。2025年現在、新車価格はXSR700が約110万円前後、XSR900が約140〜150万円前後と、おおよそ30〜40万円の差があります。この価格差を「大きい」と感じるか「納得」と思うかは、装備内容をどう捉えるかにかかっています。

まず、XSR900は価格に見合った最新の電子制御装備が満載です。6軸IMUを使ったトラクションコントロール、コーナリングABS、スライドコントロール、クルーズコントロール、クイックシフター(上下対応)などが標準装備されており、まさに現代のスポーツバイクに求められる装備がフルパッケージで揃っています。これらはツーリング時の快適性や安全性に直結する要素であり、**“装備込みで価格を考えるとむしろ割安”**という評価も見受けられます。

一方、XSR700は非常にシンプルな構成で、電子制御は最小限。ABSとトラクションコントロールは搭載されていますが、6軸IMUやコーナリング対応の補助システム、クイックシフターなどは非搭載です。とはいえ、構造がシンプルだからこそ「故障リスクが少ない」「ライダーの感覚で操作できる」といった声もあり、“余計なものがない”潔さを好む人には高く評価されています。

装備以外にも、ホイールやブレーキシステム、サスペンションの構成も異なり、XSR900は倒立フロントフォークやラジアルマウントブレーキキャリパーを採用するなど、スポーツ走行を意識した足回りになっています。700の方は正立フォークと一般的なブレーキ構成ですが、十分な性能を持ちつつ整備性やコストの面で有利とも言えます。

筆者の感覚としては、「最新装備と高性能に30万円を払う価値がある」と感じたのがXSR900。「最低限でいいから安く軽く楽しみたい」と思えばXSR700がベストバイでした。つまり、コストパフォーマンスは“装備の価値をどう捉えるか”で変わるというのが実際のところです。

どちらも“価格以上の魅力”があるのは間違いありませんが、その魅力の方向性がまったく異なる。自分が求めるのが「最先端の機能」か「シンプルなバイクらしさ」かによって、コスパの良し悪しは180度変わるのです。

ライディングポジションと車格の体感差

XSR700とXSR900は、見た目が似ているため車体サイズも同じように感じられるかもしれませんが、実際に跨って走ってみると体感する「大きさ」と「重さ」には明確な違いがあります。購入を検討するうえで、この“車格の差”は日常の使い勝手や疲労度に直結するため、非常に重要なポイントになります。

まずXSR700は、車両重量が約186kg(装備重量)と非常に軽量で、足つき性も良く、ハンドルの切れ角も大きめに設計されています。シート高は835mmとやや高めに思われるかもしれませんが、シートが細く絞られているため足つきはスペック以上に良好。街乗りやUターン、取り回しでは「とにかく扱いやすい」と感じるライダーが多いです。筆者自身も試乗で乗った際、信号待ちや停車時のふらつきの少なさに驚かされました。

一方でXSR900は、装備重量が約193kgと700と比べてわずかに重いものの、体感としては“どっしりしている”という印象が強めです。これは単に重さの差というよりも、エンジンの存在感や足まわりの剛性、ホイールベースの長さ(700:1405mm/900:1490mm)などの違いが複合的に影響しています。シート高は700と同じく約835mmですが、900の方がやや広くて硬めのシート形状となっており、ライダーの着座位置も自然と高めに感じられます。

また、ポジションにも違いがあります。XSR700はアップライトなハンドル位置と自然なステップ位置で、非常にリラックスした姿勢が取れます。通勤や街中での使用では、このゆったりしたポジションが快適そのものです。対してXSR900は、やや前傾気味のポジションで、走行中の安定感やスポーツ走行時の体の一体感は抜群ですが、長時間の街乗りではやや疲れを感じる人もいるかもしれません。

筆者の印象では、“気軽に乗り出せる”のがXSR700、“本気の走りに応える構え”がXSR900といった違いがあります。通勤やショートツーリング中心のライダーにとっては、700の取り回しやすさが大きな魅力。一方、走りに没頭したい人にとっては、900のしっかりした車体構成とポジションがしっくりくるはずです。

電子制御・足まわりの進化度合い

XSR700とXSR900の比較において、スペック以上に体感差が大きいのが電子制御システムと足まわりの性能です。XSR900は現代スポーツバイクとしての最新技術が凝縮されており、XSR700が持つ「シンプルでアナログな乗り味」とは、明らかに別方向の進化を遂げています。

まず電子制御。XSR900は、ヤマハが誇る6軸IMU(慣性計測ユニット)を搭載しており、コーナリング中でも最適なブレーキ制御を行うコーナリングABSや、バンク角に応じたトラクションコントロール、スライドコントロールなどが統合されています。これにより、スポーツ走行時はもちろん、悪路や雨天時でも安心して操作できる高度な制御力を発揮してくれます。

また、標準装備の**クイックシフター(アップ・ダウン対応)**も非常に快適で、シフトミスの心配が減るだけでなく、ライディング中の集中力を途切れさせずに済みます。加えて、クルーズコントロールも装備されており、ロングツーリングでの疲労軽減にも大きく貢献します。これらは、ツーリングからワインディングまであらゆるシーンでライダーの支えとなる機能です。

対してXSR700は、電子制御は最小限。ABSと簡易的なトラクションコントロールは装備されていますが、IMUによる高度なバイク姿勢検知やスライド制御などは非搭載。もちろんこれは「劣っている」という意味ではなく、よりシンプルでダイレクトな操作感を重視した設計とも言えます。逆に言えば「自分でバイクをコントロールする感覚を楽しみたい」ライダーにはピッタリです。

足まわりの面でも違いは顕著です。XSR900は倒立フォークとリンク式リアサスペンションを装備し、減衰力調整も可能。XSR700は正立フォークでリアは直押しタイプと、コストを抑えた構成ですが、軽量な車体との相性は良好で、日常走行には十分すぎる性能を持っています。

筆者の感覚では、XSR900はまさに“電子制御で武装された現代スポーツバイク”。対するXSR700は、“バイク本来の素朴なフィーリングを残したネオクラシック”。「技術に守られた安心感」を選ぶか、「感覚で操る楽しさ」を選ぶかで、評価は大きく分かれる部分だと感じました。

デザインは同じじゃない?外観と細部の違い

XSR700とXSR900は、一見すると非常によく似たネオレトロスタイルのデザインで、「見た目は同じでは?」と思われがちです。しかし、実際には各部の造形や質感に細かな違いがあり、それぞれが明確な個性を持っています。特に、所有感や満足度に影響する部分だけに、デザインの違いは見過ごせないポイントです。

まず共通しているのは、「ネオレトロ×スポーティ」という全体のコンセプト。丸目LEDヘッドライト、シンプルなタンク形状、ショートテールのリアまわりなど、クラシックな雰囲気と現代的な装備を融合させたデザインアプローチは、どちらも魅力的です。ですが、そこから先のディテールに目を向けると、それぞれのキャラクターがはっきりと分かれていきます。

XSR700は、よりシンプルで軽快な雰囲気を重視した仕上がりです。タンクカバーやシートは無駄を削ぎ落とした直線的なデザインで、全体的にコンパクトで親しみやすい印象を受けます。マット系カラーやシンプルなグラフィックも多く、「控えめな中に上品さが光る」デザインと言えるでしょう。筆者も、初めて実車を見たときに「気取らないかっこよさ」があると感じました。

一方XSR900は、より洗練された質感とディテールの作り込みが特徴です。ヘッドライト周囲のマウントやタンク周辺、リアカウルにはアルミパーツが多用され、質感は明らかに上位モデルの風格を備えています。また、ヘッドライトとメーターのレイアウトや、シートの厚み・ステッチ処理などにもプレミアム感があり、「所有欲をくすぐる一台」に仕上がっています。

さらに、カラーリングの違いも印象を左右するポイントです。XSR900は限定カラーやクラシックモチーフの特別仕様車が投入されることもあり、**コレクター心をくすぐるような“特別感”**があります。一方、XSR700は実用性とスタンダードな魅力を重視している印象で、飽きがこないベーシックな色味が中心です。

筆者の感想としては、「見た目重視なら900、軽快さと親しみやすさ重視なら700」といった印象です。写真だけで比較すると似て見えても、実車を見て跨ると全然違うことに気づきます。デザイン=性能ではありませんが、バイクを選ぶうえで“心がときめくか”はとても大事な要素。だからこそ、見た目の違いにもじっくり向き合って選んでほしいと思います。

xsr700 xsr900 どっちを選ぶ?用途・スキル別おすすめガイド

xsr700 xsr900 どっちを選ぶ?用途・スキル別おすすめガイド
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XSR700とXSR900は、どちらもヤマハの“XSRシリーズ”に属し、共通したネオレトロデザインを持つ兄弟モデルです。しかし、ここまで比較してきたように、エンジンの特性から車体構成、装備、乗り味に至るまで、それぞれがまったく異なる個性を持ったバイクであり、「見た目が好きだから」で選ぶには少し注意が必要です。

特に大事なのは、ライダー自身の経験値や体格、使い方、バイクに求めるものです。スポーツ性能を求める人、ツーリング中心に使いたい人、通勤などの日常使いを重視する人、バイクは趣味として「所有感」や「カスタムの余地」を楽しみたい人など、目的は人それぞれ。それによって、“向いているバイク”も自然と変わってきます。

筆者も最初は「どうせならスペックの高いXSR900にしよう」と考えていましたが、試乗してみると「これはちょっと自分にはオーバースペックかもしれない」と感じ、結果的にXSR700の素直な扱いやすさに魅力を感じるようになりました。逆に、「もっと走りに刺激がほしい」「電子制御も使いこなしたい」と思うなら、900を選んだほうがきっと満足度が高くなるでしょう。

このセクションでは、**「こんな人にはXSR700」「こんな用途ならXSR900」**といった視点で、具体的な使用シーンやライダーのスキル別におすすめモデルを解説していきます。初心者からベテランまで、後悔のない選択をするためのヒントになれば幸いです。

初心者・中型免許取り立てに向いているのは?
扱いやすさで選ぶなら700
ワインディング・スポーツ走行を楽しみたい人は?
走り重視なら900が本命
街乗り・通勤用途ではどちらが快適?
軽さと燃費で700が有利
ロングツーリングやタンデム向きはどっち?
パワーと余裕は900が上
中古で狙うなら?リセール・市場流通の違い
700は価格安定、900は人気色高騰中

初心者・中型免許取り立てに向いているのは?

XSR700とXSR900を比較するうえで、「初心者に向いているのはどっちか?」というのは多くのライダーが気にするポイントです。結論から言えば、中型免許を取り立てた初心者にはXSR700が圧倒的におすすめです。その理由は、車体の軽さ、出力特性、そして“バイクとの対話のしやすさ”にあります。

まず、XSR700の最大の魅力は扱いやすさ。装備重量186kgという軽量ボディは、取り回しや取り回しの練習に最適で、信号待ちや駐車場でもストレスが少ないです。筆者が教習所を出たばかりの頃に乗った経験では、「これなら乗れる」と自信を持たせてくれる安心感がありました。ハンドルの切れ角も大きめで、Uターンや街中の細道でも戸惑うことはほとんどありません。

エンジンも、2気筒689ccの並列ツインは低回転から豊かなトルクを発揮し、ギクシャクしづらく、初心者でもスムーズに操作できます。加速も穏やかで、「速すぎて怖い」ということがありません。無理に回さなくても気持ちよく走れるので、ライディングに余裕が生まれます。クラッチ操作やシフトチェンジにまだ慣れていない初心者にとって、この“素直さ”は何よりの味方になるでしょう。

一方、XSR900はというと、3気筒888cc・約120馬力という強烈なパワーを持つマシン。電子制御で補正されているとはいえ、スロットル操作にはある程度の繊細さが求められ、**誤操作が走りに直結しやすい“鋭さ”**があります。初心者がいきなり扱うには、スペック的にも体感的にも“やりすぎ感”が出てしまい、むしろバイクに乗る楽しさを見失いかねません。

また、XSR900の前傾気味のポジションや大柄な車体は、取り回しにもコツが必要です。教習車よりも重く、押し引きで戸惑うことも多くなるでしょう。最初の一台に選ぶなら、「乗るのが楽しい」「練習しやすい」と感じられるかが何より重要。その点でXSR700は、初心者にとってまさに最適な相棒だと言えます。

もちろん「いずれはXSR900にも乗ってみたい」と思うのは自然なことですが、まずはXSR700で基礎をしっかり身につけ、ライディングスキルを育てるのが結果的に一番の近道だと筆者は感じています。

ワインディング・スポーツ走行を楽しみたい人は?

「走りを楽しむバイクが欲しい」「峠道やワインディングで気持ちよく走りたい」――そんなスポーツライディング志向のライダーにとって、XSR700とXSR900の選択は非常に大きな分かれ道になります。そしてこの場合、結論から言えばXSR900こそが本命です。

その最大の理由は、エンジンと車体のポテンシャルの違いにあります。XSR900は、MT-09と同じ888cc・3気筒エンジンを搭載し、最大出力119馬力という強烈なパワーを発揮します。このエンジンは高回転までストレスなく吹け上がり、トルクの出方もリニアで、ワインディングでは立ち上がりの鋭さが特に光ります。筆者も試乗で峠道を走った際、“走りのために作られている”というフィーリングが全身に伝わってくるのを感じました。

さらに、XSR900は足まわりの構成も本格派。倒立フロントフォークに減衰調整機構付きのリアショック、ラジアルマウントのブレーキキャリパーなど、スポーツライドを支える装備が充実しています。サスペンションの剛性やブレーキの初期制動力、切り返しのキレの良さまで、すべてが“攻めるため”のバイクという印象です。

加えて、IMUベースの電子制御もワインディングでは大きな武器になります。トラクションコントロール、スライドコントロール、コーナリングABSなどがライダーをサポートし、**「思い切ってバイクを寝かせても安心」**という信頼感が生まれます。これが中級以上のライダーにとっては、より高いレベルの走りを安全に楽しむための大きなアドバンテージになるでしょう。

もちろん、XSR700でも峠道は楽しめます。軽さと素直なハンドリングは魅力的で、「マイペースで気持ちよく流す」という意味では非常に心地よいバイクです。ただし、速さや刺激を求め始めると、「物足りなさ」や「限界の低さ」を感じやすいのも事実。特に下り坂ではブレーキの効きや安定性の面で、XSR900との差が明確になります。

筆者の実感としては、「走ること自体を楽しみたいなら700」「走りを極めていきたいなら900」といった棲み分けがしっくりきます。バイクで“気持ちよく攻めたい”という思いがあるなら、XSR900の完成度は間違いなく満足を超える体験を与えてくれるはずです。

街乗り・通勤用途ではどちらが快適?

XSR700とXSR900、どちらもスタイリッシュでカッコいいネオレトロバイクですが、「日々の通勤」や「ちょっとした街乗り」をメインに考えたとき、快適性や気軽さの面で有利なのは圧倒的にXSR700です。その理由は、軽さ・扱いやすさ・燃費の良さにあります。

まず、XSR700の最大の強みは取り回しの軽快さ。車両重量は約186kgと250cc並みに軽く、信号待ちや狭い路地、駐輪場での押し引きなど、日常のシーンでストレスが少ないのが魅力です。筆者も試乗の際に強く感じたのは、「バイクに乗せられている」感覚がなく、自分の思い通りに動かせる素直さでした。毎日使うものだからこそ、この“気軽さ”は大きな武器になります。

加えて、エンジン特性も街乗り向きです。低中速のトルクが太く、発進や低速走行がスムーズで、ストップ&ゴーが多い市街地でもギクシャクせずに快適に走れます。スロットル操作もリニアで、信号ダッシュで必要以上に飛び出すこともありません。さらに、燃費は実走行で30km/L前後と非常に優秀。通勤距離が長い人にとっては、維持費の安さも大きな魅力です。

一方でXSR900はどうかというと、街中ではそのパワーがやや持て余し気味。3気筒エンジンはスロットルのツキが強く、低速域では“ピリついた”感覚があるため、慣れるまではギクシャクしがちです。また、装備重量193kgという重さと、大柄な車体は、交差点や狭い駐輪スペースでは少なからず取り回しに気を使います。クラッチ操作も重めで、渋滞の多い都市部ではじわじわと疲れが溜まってきます。

加えて、電子制御の恩恵が大きく感じられるのは主に中〜高速域での話であり、街乗りではややオーバースペック気味です。燃費も25km/L前後で、700と比べて少し悪化します。これらの点を踏まえると、通勤や買い物、休日のちょい乗りなど“生活の足”として使うなら、断然XSR700が快適で現実的です。

筆者としては、「バイクを使いこなす」というより「自然に付き合える相棒」としてXSR700は非常に完成度が高いと感じています。XSR900の圧倒的なパワーも魅力的ですが、街中ではそれが逆に負担になる場面も。バイクとの距離感を大切にしたい人にとって、XSR700は“ちょうどいい”を極めた一台と言えるでしょう。

ロングツーリングやタンデム向きはどっち?

ロングツーリングやタンデム(二人乗り)を考えたとき、XSR700とXSR900のどちらが向いているか。結論から言えば、走行性能と快適性のトータルバランスで考えると、XSR900が一歩リードします。理由はシンプルで、「余裕のあるパワー」「電子制御の恩恵」「装備の質感」がすべてロングライドにフィットしているからです。

まず注目すべきは、エンジン出力と高速域での安定感です。XSR900は888ccの3気筒エンジンを搭載し、120馬力近いパワーを持ちます。これにより、高速道路での追い越しや長時間の巡航時もストレスなく走行可能です。筆者も実際に高速ツーリングで900に乗った際、6速でクルージングしていても「まだ余裕がある」と感じるほどで、長距離でもライダーが疲れにくい設計だと実感しました。

さらに、クルーズコントロールやトラクションコントロールなどの電子装備も、ロングツーリングでは大きな味方になります。特にクルコンは高速道路の単調な区間で右手を休められるため、疲労感の軽減に直結します。また、倒立フォークや剛性の高いシャーシが、長時間の走行でもしっかりと安定感を保ってくれます。

タンデムにおいてもXSR900は有利です。シートサイズがやや広めで、リアサスの容量にも余裕があり、同乗者が疲れにくい設計になっています。リアグリップの取り付けも容易で、安心感のある後部座席環境を整えることが可能です。

一方のXSR700はどうかというと、ロングツーリングも不可能ではありませんし、軽快さゆえの疲れにくさという利点もあります。しかし、高速走行時のパワー感には限界があり、特に追い越し加速や登坂では「もう少し欲しいな」と感じることがあるのは否めません。また、タンデムではリアシートの幅と厚みがやや心もとないため、長時間同乗者を乗せるにはやや不向きかもしれません。

もちろん、ソロツーリング主体で、のんびり下道を走るスタイルならXSR700でも十分です。しかし、「タンデムでも余裕を持ちたい」「高速も快適に走りたい」「長距離を一日でこなしたい」といった本格的なロングツーリングを想定するなら、XSR900の方が明らかに快適性と信頼感が上です。

中古で狙うなら?リセール・市場流通の違い

XSR700とXSR900はどちらもヤマハの人気ネオレトロモデルとして、中古市場でも活発に取引されています。ただし、中古での流通状況や価格の傾向、リセールバリューにはそれぞれ明確な違いがあり、**「今買うならどちらが得か?」「将来売るとき損しにくいのはどちらか?」**という視点で見ても興味深い比較ができます。

まず、中古市場での流通量に関しては、XSR700の方がやや多め。2017年の登場から年数を重ねていることもあり、価格帯は60万円台〜80万円台が主流で、比較的安定しています。過度な値上がりも少なく、初心者やコスパ重視のライダーには手を出しやすい状況です。また、フルノーマル車や低走行の個体も豊富で、選びやすさという点ではXSR700に軍配が上がります。

一方、XSR900は年式ごとにモデルチェンジが入り、特に2022年以降の新型(3眼ヘッドライトの現行型)は装備の充実やデザインの刷新により人気が急上昇。中古価格は90万円〜120万円前後と高値安定が続いており、人気カラー(レジェンドブルーなど)は即売れする傾向もあります。つまり、「条件のいい個体を見つけたら即決が必要」なモデルです。

リセールバリューの観点で見ると、XSR900の方がやや有利です。車体価格が高く、プレミア感のあるモデルということもあり、丁寧に乗って保管すれば高値での下取りや買取が期待できます。特に新型デザイン以降は市場評価が高く、距離が少ない個体はリセールでも強い傾向があります。

一方、XSR700は価格が安定している分、「大きく損をしないバイク」とも言えます。値崩れが少なく、中古でも一定の需要があるため、買ってから数年乗っても大幅な下落は起きにくい印象です。つまり、700はリセールというより“出費を抑えた維持重視”向き、900は“高値で売れる可能性”を狙えるモデルと言えるでしょう。

筆者としては、「初めての大型バイクで、中古で価格を抑えたい」ならXSR700が最適。「少し高くても価値ある一台を手に入れて、後々売ることも視野に入れたい」ならXSR900が向いています。どちらも中古での選び方ひとつで、満足度や損得に大きな差が出るので、市場動向を把握しながら慎重に選ぶことが後悔を避けるポイントになります。

xsr700 xsr900 比較の結論|あなたに合う一台を選ぶヒント

XSR700とXSR900は、共にヤマハが手がけるネオレトロバイクとして魅力にあふれていますが、実際に比較してみると性能・装備・乗り味・適性すべてにおいて、明確な違いがあることが分かります。見た目が似ていても、乗る人の目的やライフスタイルによって「正解」は大きく変わってくる――それがこの2台の本質です。

XSR700は、軽さ・素直なエンジン特性・扱いやすいポジションによって、初心者や街乗り中心のユーザーにぴったりの一台です。維持費も手頃で、中古価格も安定しており、バイクとの付き合い方をじっくり学びたい人には特におすすめできます。「無理なく自然にバイクと付き合える相棒」として、長く乗れる懐の深さが光るモデルです。

一方、XSR900は性能・装備・質感すべてがワンランク上で、「走りを楽しみたい」「最新技術に守られながら高性能を使いこなしたい」ライダーにフィットするマシンです。峠道や高速道路では圧倒的な余裕を見せ、電子制御による安心感もあり、ある程度のスキルを持ったライダーにとっては“満足を超える刺激”を与えてくれる一台です。

どちらが優れているという話ではなく、大切なのは**“自分が何をバイクに求めているか”**を明確にすること。見た目で惹かれたとしても、使い方がマッチしていなければ後悔につながる可能性もあります。通勤・街乗り・週末のツーリング・ワインディング・ロングラン・タンデム……そうした日常や趣味の中で、どんな走り方をしたいのか。それによって選ぶべきモデルは自然と見えてきます。

筆者のおすすめとしては、迷ったらまずはXSR700から始めてみるのもアリ。そこから「もっと走りたい」と思ったらXSR900にステップアップするのも自然な流れです。どちらも素晴らしいバイクであることは間違いなく、あなたのバイクライフを豊かにしてくれる存在になるはずです。

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