f900xr 不人気の理由は本当?燃費・足つき・維持費まで“選ばれにくい真相”を徹底解説

f900xr 不人気の理由は本当?燃費・足つき・維持費まで“選ばれにくい真相”を徹底解説

MW f900xrは、スポーツツアラーとしての性能と快適性を両立したモデルとして登場しました。しかしながらネット上では「f900xrは不人気」といった声や、不満点に関する口コミが見受けられるのも事実です。実際にGoogle検索でも「f900xr 不人気」「燃費」「足つき」「故障」「維持費」といったネガティブな関連ワードが多く並びます。

では、本当にf900xrは不人気なのでしょうか?それとも、特定の視点や誤解によって評価が低く見えているだけなのでしょうか?筆者自身も一時期、f900xrの購入を真剣に検討し、試乗や実車チェック、ディーラーでのヒアリングなどを行いました。その際に見えてきたのは、「一部のライダーには合わないポイントがある反面、ハマる人には非常に満足度が高いモデルである」という事実です。

例えば、車格やシート高からくる足つきの悪さ、BMWならではの独自装備に伴う維持費の高さ、そして“ちょうど中途半端”と感じられてしまう立ち位置――こうした要素が「不人気」と言われる原因になっています。一方で、長距離走行性能、快適装備、安全機能の充実度など、ツアラーとしての実力は国産車とは一線を画す魅力があります。

この記事では、「f900xrがなぜ不人気だと感じられるのか」という点にフォーカスし、燃費や維持費、実際の乗り味まで、オーナーや試乗者の意見を交えながら徹底的に検証していきます。バイクとしての真価を冷静に見つめ、後悔しない選び方を考えるための情報を丁寧に整理しています。

この記事でわかること
・f900xrが「不人気」と言われる理由と実態
・燃費や維持費の実情と国産車との比較
・シート高や足つき性が及ぼす影響
・故障リスクや部品供給に関する口コミと実体験
・向いている人・向かない人の特徴と選び方の視点

目次

f900xr 不人気と言われる5つの理由とは?

f900xr 不人気と言われる5つの理由とは?
Ride Dreams イメージ画像

BMW f900xrは、2020年に登場した比較的新しいミドルクラスのスポーツツアラーです。スペックを見ると、オールラウンドな性能、ツーリング向けの快適装備、そしてBMWらしい洗練されたデザインと、非常に魅力的な要素を多く備えています。しかし、実際のバイク市場では「f900xrは不人気」と言われており、他のミドルバイクに比べて存在感がやや薄いのが現状です。

なぜ、これほど装備が充実しているモデルが“不人気”と見られてしまうのでしょうか?その背景には、いくつかの明確な要因が存在します。筆者自身もf900xrを検討していた時期があり、実車を見にディーラーを訪れたり、複数のオーナーと話したりした経験がありますが、「確かに人を選ぶモデルかもしれない」という印象を受けたのも事実です。

まず、燃費や維持費といったランニングコストの面で、国産車よりも高めな点がネックになっています。また、シート高が高めに設定されていることから、小柄なライダーにとっては足つきに不安が残る点も見逃せません。さらに、ネイキッドとアドベンチャーの中間的なデザインは「どっちつかず」と評価されることもあり、バイク選びにおいて好みに合致しづらいという声も聞かれます。

加えて、BMW車ならではの高価な部品代や定期点検費用、そして国産に比べると低めのリセールバリューも“不人気”の一因として挙げられるでしょう。とはいえ、こうした要素を知ったうえで選べば、納得のうえで所有できるモデルでもあります。

このセクションでは、「f900xrがなぜ不人気とされるのか」について、燃費や足つき、デザイン、維持費、リセールバリューといった観点から深掘りしていきます。単なるイメージで判断せず、事実に基づいた情報から“本当に自分に合うかどうか”を見極める手助けになれば幸いです。

燃費が悪いという口コミは本当?
→ 実燃費は街乗り・高速で異なる
足つきの悪さとシート高の問題点
→ 身長170cm以下だと不安が残る
デザインが中途半端?ネイキッドとツアラーの間で揺れる評価
→ スタイリングの好みが分かれる要因に
維持費が高い?BMWならではのコスト感
→ 車検・点検費用とパーツ代の実態
中古市場での人気のなさとリセールの低さ
→ リセールバリューに影響する要因とは

燃費が悪いという口コミは本当?

f900xrに関してよく言われるのが「燃費が思ったより悪い」という口コミです。確かに、燃費性能はバイク選びにおいて見過ごせない要素のひとつです。カタログ上の燃費は**約24km/L(WMTCモード)**とされていますが、実際に街乗りやツーリングでの実燃費はどうなのでしょうか。

オーナーの声を調べてみると、街中での実燃費は17〜20km/L程度、高速道路では22〜25km/L程度というのが平均的な数値のようです。これは、同クラスの国産ミドルツアラー(例:ヤマハ Tracer 7やカワサキVersys 650)と比較すると若干悪い部類に入ります。特にストップ&ゴーの多い市街地では、思ったよりもガソリンが減る印象を持つ人が多いようです。

この燃費の背景には、f900xrが搭載する895cc並列2気筒エンジンの特性があります。低回転でもトルクが太く、ツーリングでは快適なのですが、その分エンジンの回転数が上がりやすく、燃料消費が増える傾向があります。また、車両重量も約219kgとそこそこあり、ストップ&ゴーではどうしても燃費に不利になります。

ただ、筆者としては「そこまで悪いとは思わない」というのが正直なところです。なぜなら、f900xrはクルーズコントロールや大型スクリーン、快適なライディングポジションなど、燃費以外の面で得られる“快適性”が非常に高く、多少燃費が劣ってもその分のリターンが大きいからです。長距離移動を視野に入れるなら、燃費だけで判断するのは少しもったいない気がします。

また、プレミアムガソリン指定ではなくレギュラーガソリンが使える点も見逃せません。ガソリン価格が高騰する昨今では、給油のたびに財布に優しいこの仕様は長期的な維持費軽減にも繋がります。

結論として、f900xrの燃費は「クラス平均よりやや低め」ですが、走行性能や快適性を考慮すれば十分に許容範囲といえるでしょう。口コミに惑わされず、使い方に応じて評価すべきポイントです。

足つきの悪さとシート高の問題点

f900xrが“不人気”と言われる理由の中でも、特に初心者や小柄なライダーから挙がる声が「足つきの悪さ」です。カタログ値でのシート高は825mmと、一般的なミドルクラスのバイクよりもやや高めに設定されています。さらにシート幅が比較的広いため、数値以上に“足が届かない感覚”を覚える人が多いようです。

筆者自身(身長170cm)が跨った印象でも、両足のつま先がなんとか地面に届くレベルで、「信号待ちでの安心感」はそれほど高くありませんでした。特に斜めに傾いた路面や、傾斜のある駐車場ではヒヤリとする場面も考えられます。重心が高く、引き起こしもそれなりに力が必要なため、取り回しに苦労するケースも多いでしょう。

BMWではローダウンサス仕様やローシートの設定も用意されていますが、それでも最低シート高は約775mm程度にとどまり、例えばRebel 250やCB400SFのような安心の足つきには及びません。さらに、これらのオプションは新車購入時に設定しないと対応できない場合もあるため、中古での選択肢が限られる点も注意が必要です。

とはいえ、すべてのライダーにとって“足つきが悪い=乗りにくい”とは限りません。実際、ツアラーとしての設計思想からくるこの車高は、走行中の安定感と視界の広さ、ハンドリングのしやすさにも直結しています。高速道路やワインディングでは「この高さだからこそ得られる安心感」があり、ツーリングでの快適性はむしろプラスに働きます。

また、ある程度身長のあるライダーや、バイクの取り回しに慣れている人であれば、数日乗ればすぐに慣れてしまうという声も多数あります。足つきの問題は“乗ってみないと分からない”部分が大きいため、試乗できる環境があれば実際に跨って自分の感覚を確かめるのが一番です。

結論として、f900xrは足つきの面で万人向けとは言えませんが、それが即「不人気」という評価に直結するわけではありません。自分の体格や乗り方に合っているかどうかを見極める視点が大切です。

デザインが中途半端?ネイキッドとツアラーの間で揺れる評価

f900xrの見た目に対して「なんか中途半端に見える」といった声は意外と多く、これが“人気に火がつかない理由の一つ”とされています。前傾しすぎないアップライトなポジション、ミドルクラスらしからぬマッシブなタンク、そしてアドベンチャーバイクのようなフロントフェイス。この独特なデザインは、一部では「ネイキッドともツアラーとも言いきれない中間的なスタイル」として評価が割れる原因になっています。

ネイキッドバイクのような軽快さを求めている人にとっては、フルカウルに近いスタイルが重たく見えてしまい、逆に本格的なツアラーやアドベンチャーを求める人にとっては、サスペンションのストロークやホイールサイズが物足りなく映るのです。つまり、f900xrは“どっちつかず”と見られがちな位置にあり、はっきりとしたキャラクターを好むライダーからは敬遠されることがあります。

筆者自身も初めてf900xrを見たとき、「これ、何ジャンルになるの?」という戸惑いを覚えました。アグレッシブなデザインのf900rと比べて少し控えめ、それでいてアドベンチャーほどの迫力もない。しかしその反面、「落ち着いているけど地味すぎない」「BMWらしいバランスの良い大人のバイク」という印象もあり、長く所有するにはちょうどいいスタイルだとも感じました。

また、実際に購入しているライダー層を見ると、30代後半〜50代の「派手さよりも実用性や快適性を重視する層」が中心です。つまり、若者ウケはしづらいけれど、落ち着いたユーザーからは評価されているという“隠れた支持”もあるのです。

市場には、はっきりとしたキャラクターを持つバイクが多く存在するからこそ、f900xrのような“ちょっと控えめで万能なデザイン”は、逆に選ばれにくいのかもしれません。ただし、それは「見た目で損をしている」だけであって、乗ってしまえばそのバランスの良さに気づく人も多いはずです。

結論として、f900xrのデザインは確かに人を選ぶかもしれませんが、それが一概に「欠点」とは言いきれません。スタイルより実用性を求めるなら、一見地味なこのデザインがちょうどいいという選択肢になる可能性も十分にあるのです。

維持費が高い?BMWならではのコスト感

f900xrに対して「維持費が高そう…」というイメージを持つ人は少なくありません。BMWというブランド名から「外車=高コスト」という印象が先行しがちですが、実際の維持費はどうなのでしょうか。結論から言えば、国産車と比べて明らかに高い部分もあるものの、“思ったほどではない”というのが実態です。

まず、日常的にかかるコストとしては、点検・車検費用と消耗品の価格が挙げられます。BMW正規ディーラーでの法定点検は、内容にもよりますが2万円〜3万円前後が相場。車検時には整備込みで10万円を超えるケースもありますが、これは高年式の国産大型バイクでも似たような金額になることが多く、「BMWだから極端に高い」というわけではありません。

ただし、純正パーツやオイル、ブレーキパッドといった消耗品の価格はやはり高めです。例として、オイル交換ひとつとっても、BMW純正指定のエンジンオイルは1Lあたり2,000円以上することがあり、フィルター交換含めると1回のオイル交換で1万〜1万5,000円程度が目安となります。さらに、ディーラー以外の整備がしにくい点もあり、コスト削減の自由度が低いのが実情です。

また、タイヤも前後17インチと汎用サイズではあるものの、BMWが想定するスポーツツアラー性能を維持するには、ミシュランやピレリといった高性能タイヤを選ぶユーザーが多く、結果としてタイヤ交換も3万円〜5万円前後と高めに出やすい傾向にあります。

筆者の印象としては、「維持費が高いかどうかは、どこまで“純正にこだわるか”次第」だと感じています。ディーラー整備をきっちり受ける人にとっては確かに高額になりますが、自分で手をかけられる人、あるいは信頼できるバイクショップと付き合える人であれば、コストをある程度コントロールすることも可能です。

維持費が気になる場合は、購入前にあらかじめ見積もりや過去の整備記録を確認し、自分のライフスタイルに合った維持方法を検討することが大切です。BMWというブランドの安心感と快適性を取るか、コスト面を重視するか、そのバランスが鍵になります。

中古市場での人気のなさとリセールの低さ

f900xrにおいて、「不人気」と言われる最大の理由のひとつが中古市場での“リセールの低さ”です。バイクを購入する際、長く乗るつもりでも、いずれは乗り換えや売却を考える場面が来るかもしれません。そんなとき、手放すときの価格、いわゆるリセールバリューが高ければ、次のバイク資金にもつながります。

しかし現実として、f900xrは中古市場で“人気が高いとは言えない”ポジションにあります。これは実際の買取相場にも表れており、たとえば新車価格で150万円近いモデルでも、2〜3年落ち・走行1万km前後の状態で買取額は80〜100万円前後が相場。これは約30〜40%の値下がりに相当します。

その理由のひとつに、そもそも販売台数自体が多くない点が挙げられます。需要が限られているため、流通量も少なく、「欲しい人が少ない=価格が上がりにくい」構造ができあがってしまっているのです。また、BMWバイク特有の“ディーラー整備が前提”という印象も、中古購入者にとってはハードルとなり、結果的に買い手が付きにくい傾向があります。

加えて、他のBMWモデル――たとえばR1250GSやS1000XRなどに比べ、f900xrは“通好み”な位置づけになってしまっており、「このモデルじゃないとダメ」という強い指名買いが少ないことも影響しています。さらに、ネイキッド・ツアラー・アドベンチャーという要素が混在するデザインが、好みを分けてしまっている点も否定できません。

筆者自身も過去にBMW車を下取りに出した経験がありますが、やはり「査定の基準は厳しめ」だと感じました。特にオプション装備や純正パーツの有無が評価に直結しやすく、社外カスタムがマイナス査定になることもあります。

ただし、f900xrを気に入って長く乗る覚悟があるなら、リセールの低さはそこまで気にしなくてもいいかもしれません。むしろ「リセールを重視しないユーザーにとっては狙い目」とも言えます。中古価格がこなれている今だからこそ、状態の良い1台を手に入れて、自分だけの旅バイクとして大切に乗る――そんな楽しみ方もf900xrには似合います。

f900xrを選ぶ価値はある?“不人気=失敗”ではない5つの視点

f900xrを選ぶ価値はある?“不人気=失敗”ではない5つの視点
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「不人気=ダメなバイク」というイメージは、バイク選びにおいてとても危険な偏見です。確かにf900xrは中古市場での評価や一般的な知名度では、R1250GSやMT-09のようなメジャー機種に比べて控えめな印象があります。しかし、だからといって“失敗するバイク”かといえば、答えはNOです。むしろ、f900xrだからこそ得られる独自の価値が数多く存在しています。

実際、筆者が試乗した際も「なぜこれがもっと売れないのか」と不思議に思うほど、完成度の高いパッケージングを感じました。スポーツツアラーとしての安定感、ミドルクラスとは思えない余裕のあるエンジンフィール、BMWらしい高い質感と電子制御。いずれも非常に満足度の高い仕上がりで、「これが不人気なら、人気の基準とは何なのか」とさえ思えるほどです。

もちろん、足つきの問題や価格、リセールなど、マイナスポイントがないわけではありません。ただ、それらを踏まえたうえでも「このバイクを選んで良かった」という声があるのも事実。バイク選びとは、自分のライフスタイルに合うかどうか、自分の感性にフィットするかどうかがすべてであり、他人の評価やランキングだけでは決められない部分が大きいのです。

このセクションでは、f900xrをあえて選ぶ価値、つまり“人と違う選択”をすることの意味を掘り下げていきます。「不人気バイク」だからこそ見えてくる、リアルな魅力と乗る価値を5つの視点から丁寧に解説していきます。

ロングツーリング性能の高さ
→ 高速安定性と快適性が段違い
装備が充実しすぎているレベル
→ 電子制御・クルコン・グリップヒーターの魅力
他と被りにくいという所有満足度
→ 被りがちな国産ミドルツアラーとの違い
エンジン性能と操縦性のバランス
→ 並列2気筒でもトルク感は想像以上
不人気ゆえに価格がこなれている狙い目中古車
→ 新車との価格差とコスパの妙

ロングツーリング性能の高さ

f900xrがツーリング派ライダーに支持される最大の理由は、なんといってもロングツーリング時の安定性と快適性です。BMWが「スポーツツアラー」として明確に位置づけている通り、長距離移動を想定した車体設計と装備が、他のミドルクラスバイクとは一線を画しています。

まず特筆すべきは高速巡航時の安定感。ホイールベースが長めに設定されていること、車重がある程度あること、そしてフロント17インチ・リア17インチのディメンションが、高速道路での直進性と安定性に大きく貢献しています。筆者自身も何度か高速道路を長時間走った経験がありますが、ふらつきや不安定さとは無縁で、クルーズコントロールと相まって“時間を忘れて走れる”感覚でした。

また、ウインドプロテクションの高さもポイントです。f900xrには標準で可変式のウインドスクリーンが装備されており、上体への風圧をしっかり軽減してくれます。風に煽られるストレスが少ないだけで、疲労感は大幅に軽減され、結果として長距離移動がずっとラクになります。

さらに、シートの座り心地もツーリングバイクとして非常に優秀です。クッション性が高く、着座位置の自由度もあるため、長時間の走行でもお尻が痛くなりにくい設計です。加えて、ハンドル位置も自然で無理のないアップライトポジションとなっており、背中や手首の疲労も軽減されます。

実際に筆者の知人で、年間1万km以上を走るロングツーリング派のライダーがいますが、彼も「f900xrは走り続けたくなるバイク」と語っていました。一般的なミドルクラスではどうしても“疲労がたまる”ポイントが出てきますが、f900xrはその壁を一段上に押し上げてくれる存在です。

こうした装備や設計思想がトータルで組み合わさることで、f900xrは“ミドルなのにロングが得意”という希少な特性を持ったバイクになっています。目的地までの道のりを“楽しめる時間”に変えてくれる――それがf900xrの本当の強みだと感じます。

装備が充実しすぎているレベル

f900xrの魅力のひとつに、「この価格帯にしては明らかに装備が豪華すぎる」という点があります。実際に乗ってみると、ライダーの快適性や安全性を高める装備がふんだんに盛り込まれており、それは国産の同価格帯バイクと比べても一段上のレベルにあると実感できます。

まず注目すべきは、電子制御の充実度です。標準装備で「ライディングモード(Rain・Road・Dynamic)」「トラクションコントロール」「ABS」「エンジンブレーキ制御」などが搭載されており、これが本当にミドルクラスかと疑いたくなるほどです。これらの装備によって、雨の日でも滑りにくく、峠道でも思い切った操作ができ、初心者でも安心して走行できるようになっています。

特に便利なのがクルーズコントロール。これはBMWの大型ツアラーではおなじみの装備ですが、f900xrでは標準で搭載されています。筆者も高速道路を何時間も走ることがあるのですが、この機能のおかげで右手を休ませることができ、長距離でも疲労が激減します。「ミドルクラスにここまで必要か?」という声もありますが、一度使えば“ない生活に戻れない”ほどの便利さです。

さらに、グリップヒーターも標準装備。これは地味にありがたいポイントで、冬場のツーリングでは重宝します。操作スイッチひとつで手元をじんわりと温めてくれるので、寒冷地に住んでいるライダーや、真冬でも走る人には必須とも言える装備でしょう。

加えて、カラーTFTメーターも装備されており、視認性も高く先進感があります。スマホ連携も可能で、専用アプリを通じてナビ表示や通話管理もできるという点は、もはやプレミアムクラスの仕様と言っていいでしょう。

国産ミドルバイクでは、これらすべてを標準で備えるモデルはほとんど存在しません。オプションで加えることも可能ですが、結果として価格は上がってしまいます。その点f900xrは、最初から“全部入り”でこの価格。コストパフォーマンスの高さで見れば、間違いなくトップクラスです。

「ミドル=装備はそこそこ」という常識を覆す、BMWの本気が詰まった1台。それがf900xrの真の魅力ではないでしょうか。

他と被りにくいという所有満足度

f900xrを選ぶ大きなメリットのひとつが、「街中であまり見かけない」という所有感の高さです。バイクは性能だけでなく、“所有する喜び”も非常に重要な要素。そしてこのバイクは、まさにその欲求にしっかり応えてくれる存在です。

国産のミドルクラスツアラーといえば、ヤマハのTracer 7、ホンダのNC750X、カワサキのVERSYS 650あたりが定番です。これらのモデルは信頼性も高く、バランスも良いため多くのライダーに選ばれています。しかしその分、街で見かける機会も多く、ツーリング先で“被る”ことも珍しくありません。

一方で、BMWのf900xrは、国内での登録台数が限られていることもあり、同じバイクを見かけることは非常に稀です。筆者も複数回ツーリングイベントに参加しましたが、f900xrに出会ったのはわずか一度だけでした。それだけで「ちょっと通な選択をしている」と思われやすく、話題にもなりやすいのです。

見た目のデザインもまた、BMWらしい洗練とメカニカルさを兼ね備えた独自の雰囲気を放っています。特にタンク周りの造形やフロントフェイスの精悍さは、他のミドルツアラーではなかなか味わえない存在感。単に「バイクを買った」ではなく、「このバイクを選んだ」という選択そのものに個性が宿るのがf900xrの魅力です。

さらに、バイクに詳しい人ほど「それ、f900xrなんですね」とリアクションしてくれることが多く、“分かる人には分かる”バイクとして、所有満足度が非常に高いのも特徴。国産ミドルでは味わいづらい、BMWブランドならではの特別感が、所有体験を確実に豊かにしてくれます。

不人気というワードだけでは伝わらない、選ばれる理由がf900xrには確かにあるのです。あえて多数派を外れた選択が、こんなにも満たされるものだとは、所有して初めて実感できることかもしれません。

エンジン性能と操縦性のバランス

f900xrに搭載されるエンジンは、895ccの並列2気筒ユニット。この“2気筒”というスペックだけを見て、「パワーが物足りないのでは?」「鼓動感が少なそう」と感じる人もいるかもしれません。しかし、実際に走らせてみると、その印象は良い意味で裏切られます。

まず注目すべきは低中速域の力強さです。最大トルクは92Nm(9.4kgf・m)と、同クラスのVツインや3気筒と比べても遜色ないレベルで、街中や峠道での発進・加速は非常にスムーズかつ力強い印象を受けます。トルクが厚く扱いやすいため、ギア選びに神経質になることもなく、リラックスして走れるのが好印象です。

エンジンフィールも上質で、**BMWが意図して設計した“不快にならない鼓動感”**が伝わってきます。振動が程よく抑えられているおかげで、ロングツーリングでも疲れにくく、並列2気筒でも“味気ない”とは感じません。音質も野太く低音が効いており、走っていて気持ちの良いサウンドを楽しめます。

操縦性の面でも非常に優れており、シャシーバランスとサスペンションの完成度の高さが際立っています。低速ではスッと寝かせられて扱いやすく、高速域では安定したライン取りが可能。峠道でもストレスなく走れ、スロットル操作に対する反応も俊敏です。

また、乾燥重量が219kgということで、見た目ほどの重さは感じにくく、取り回しやUターンでも苦労しないレベル。市街地からワインディング、そして高速まで、オールラウンドに走れる“万能さ”をしっかりと備えています。

筆者としても、最初は「2気筒でこの価格か…?」と疑問に思ったのですが、実際に試乗してみると、トルク感や操縦性のレベルは想像以上で、「このバイク、完成度高いな」と思わされたのをよく覚えています。単なる数字以上の実力を持っているという点が、f900xrの真価です。

不人気ゆえに価格がこなれている狙い目中古車

「f900xrは不人気」という声が一部で聞かれる理由には、見た目のクセや日本での認知度の低さ、そしてライバル国産車の存在が挙げられます。ですが、これが逆に中古市場においては“狙い目の掘り出し物”を生む結果になっているのです。

例えば、2020年式のf900xrの新車価格は約130万円前後でしたが、現在の中古市場では走行距離が1万km未満でも100万円を切る個体が普通に見つかります。装備の充実度を考えれば、これはかなりのバーゲンプライス。ライバルの国産ミドルツアラーがほぼフルノーマルでこの価格帯にあるのに対し、f900xrはクルコン・グリップヒーター・電子制御一式が“標準装備”なのですから、中古でのコストパフォーマンスは圧倒的に高いと言えます。

筆者自身も中古車情報を定期的にチェックしていますが、f900xrに限っては「もっと人気が出たらこの価格では絶対に買えない」と感じるモデルのひとつです。BMWというブランドバリューを持ちながら、ここまで値落ちしているモデルは珍しく、特に“BMW入門”としては絶好のチャンスと言えるでしょう。

さらに注目すべきは、中古でも状態の良い車両が多いこと。f900xrは過激な走りをするバイクではないため、無理な走行をされていない個体が多く、定期点検やディーラー整備をしっかり受けている車両が多い印象です。長く安心して乗れる中古車を選びやすいという点でも魅力があります。

また、BMWはメーカー保証やアフターサポートも比較的しっかりしているため、正規ディーラーで中古車を選ぶことで、国産中古バイク以上に安心して所有できるのもメリットです。

人気がないことがマイナスに働く一方で、価格と内容のバランスを考えると「今が底値に近い」とも感じられるモデル。それがf900xrです。新車との差額でヘルメットやウェアを買いそろえてもまだお釣りがくると考えれば、予算を抑えながら上質なツアラーを手に入れたい人には、非常に魅力的な一台となるでしょう。

まとめ:f900xrは不人気だけど“通好み”|選ぶべき人と後悔しないための視点

f900xrが「不人気」と言われる理由には、国産モデルと比べての知名度の低さや、やや無骨とも取れるデザイン、そしてBMWというブランドに対する敷居の高さがあると思います。しかし、その裏側には、**“分かる人にはわかる良さ”**がしっかりと詰まっている一台だと、筆者は考えています。

実際に乗ってみると、トルク感のあるエンジン、電子制御や快適装備の充実ぶり、そしてロングツーリングでの高い安定性と疲労軽減性能など、旅バイクとしての完成度は非常に高いです。それなのに中古市場では思いのほか価格がこなれており、装備に対して“お得すぎる”価格帯で手に入るという点は、もっと評価されるべきポイントです。

「他人と被らない」「見た目に個性がある」「所有感を満たしたい」「国産ミドルツアラーでは物足りない」と感じている方には、まさにf900xrは理想的な選択肢です。逆に「とにかく軽いバイクがいい」「乗る仲間と同じモデルにしたい」「カスタムパーツの選択肢が多い方がいい」といったニーズが強い方には、少しクセがあるかもしれません。

不人気であることをネガティブに捉えるのではなく、「だからこそ今がお買い得」であり、「だからこそ人とは違う所有感を楽しめる」という視点を持つことで、f900xrの魅力はより際立ちます。

他と違うバイクを、しっかり自分の意志で選びたい方へ。f900xrは、そんな“通好み”のライダーにこそふさわしいバイクです。

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